My girl
「そしてあの日……母さんはアイツと共に死んだんだ」
ツツ――と、僅かに充血したオヤジの瞳から大粒の涙が頬を伝う。
「クリスマスの日、お前は“オヤジを想って死んでいった母さんはどうなるんだよ”と、言ったな」
もう、オヤジは俺なんか見ていない。
俺の中に眠る深い“何か”を見つけ出し、それに狙いを定める。
その熱く鋭い視線に射抜かれ、体がビクとも動かなくなる。
「最後に母さんが呼んだのは……私の名前ではな「もういい」
これ以上、傷付けたくないし――何より傷付きたくなかった。
「そして……私と咲良は何かに惹き付けられるように、恋をした」
愛で傷付けられ、心に残った傷は“誰かの愛”でしか癒せない。
愛する人から、愛される。
満たされる心、無償の愛。
オヤジと咲良さんは、お互いを癒やし合い……何より愛し合っていたんだ。
「全部話す日が来るなんて、私は想像していなかった」