My girl


きっと、もう……美桜は行ってしまった。

俺が美桜を探して家を空けている隙に、一旦戻り荷物をまとめて。


今度こそ、出て行ったんだろう。



今になって、冷静になれたのは、俺がどうあがこうが……


美桜はもう帰って来ないって、
頭のどこかでは分かってた。


俺なんかより、美桜の方が何倍も傷付いてるって――。



「こんなとこで頭使うなよ……」

考えがブレたままの俺は、意味のない言葉を吐き出して。


「……はは、バカなのは俺か」

頬を濡らす涙にやっと気付く。



美桜は俺の、……“全て”だったってことを。


懐いたネコがなんの前触れもなく姿を消すのは……想像以上に痛みを伴うことも。


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