My girl
あ、れ――…?
これって……
「この、香り……」
頭の中で成り立ちつつある事実。
「この、味……」
これは……母さんの、味。
あの頃作ってくれた――ホットミルク。
いや……本当の名前は、
“ホットカルーア・ミルク”
眠れない夜限定の秘密のレシピ。
昔、眠れない俺に母さんが作ってくれたホットミルク。
なぜ咲良さんが、これを――?
もしかして……オヤジが?
いや、そんなはずない。
今は1番忙しい時間帯だ。
バーテンダーであるオヤジは、休みなしにカクテルを作り続けているはず。
それに、あの言葉からして咲良さんが作ったに違いない。
オヤジが……母さんに教えたあのレシピを咲良さんに教えるとも思えない。