My girl
ノ ゾ ミ ド オ リ ニ シ テ ア ゲ ル ヨ。
赤い唇が、スローモーションのように言葉を紡んでいく。
「なぁに?」
優しい笑顔で首を傾ける母さん。
何を聞かれるのか分かっていない様子で、俺の言葉を待っている。
口を必死で抑えて、鏡に映る自分を睨みつけた。
鏡に映るのは、“自分”から変貌を遂げたアイツの顔。
一度は本気で殺意を抱いた相手。
この世界では……“アイツ”が絶対なのか。
それも分からないまま……
「このホットミルク、本当にお父さんから教わったの?」
冷えた体とは裏腹。
口から出た声色は、どこまでも無邪気なものだった。