My girl
「――え……、?」
一瞬、何を聞かれたのか分かっていない母さんの表情。
やがてそれは、血の気が引いていくように青ざめていく。
くそ……っ!
もう俺は――俺は、美桜に会えないのか?
二度と……
もう未来はこの瞬間、書き換えられてしまったのか――?
だけど次の瞬間、母さんの口から信じられない言葉が飛び出した。
「どうして未来がそんなこと知ってるの?」
――でも確かに……、このレシピはお父さんから教わったものじゃないわ。
「な、どうして?」
鏡を盗み見ると、いつの間にかアイツの顔は消えていて。
変わりに映るのは、やっぱり幼い自分で。
今だって、こうして自由に口を聞くことが出来ている。
さっきの忠告を一瞬でも忘れ、俺は思わず聞いてしまっていた。