My girl


「――え……、?」

一瞬、何を聞かれたのか分かっていない母さんの表情。

やがてそれは、血の気が引いていくように青ざめていく。



くそ……っ!

もう俺は――俺は、美桜に会えないのか?

二度と……


もう未来はこの瞬間、書き換えられてしまったのか――?



だけど次の瞬間、母さんの口から信じられない言葉が飛び出した。



「どうして未来がそんなこと知ってるの?」

――でも確かに……、このレシピはお父さんから教わったものじゃないわ。


「な、どうして?」

鏡を盗み見ると、いつの間にかアイツの顔は消えていて。

変わりに映るのは、やっぱり幼い自分で。

今だって、こうして自由に口を聞くことが出来ている。


さっきの忠告を一瞬でも忘れ、俺は思わず聞いてしまっていた。


< 288 / 311 >

この作品をシェア

pagetop