My girl
夫も、未来という子供も授かって幸せな家庭を築いていたのに。
あなたは簡単に私の心に入って来てしまった。
私も、もういい歳なのに……心がドクンッって、高鳴ったのを今でも覚えてる。
それは……初恋のような甘いトキメキだった。
それが、甘いだけじゃない、苦味も伴う恋へと変わっていってしまったの。
「お父さんと未来の目を盗んで、私たちは度々会う仲になった」
――もちろん、あの人にも妻がいた。
でも、食事でもどうですかって。
――『お礼をしたいから』
初めての誘いは、あの人から。
そこで私は重大な過ちを犯してしまった。
――『あなたは、結婚はされているんですか?』
――『……いいえ、今日は友達と来ていて』
嘘を、付いた。
お父さんと未来という、かけがえのない大切な人を。
私はこの人の前で“無いもの”としてしまった。