My girl
◆影に恋する
「なっ、……なっ、な……っ!」
やたら“な”を連発する志月。
「いつまでもそこにいないで入って来れば?」
「なっ、お前……っ」
おそらく、ケーキが入っているであろう白い箱をワナワナと震わせながら。
志月が部屋へと入って来る。
美桜が帰って来た日、俺は美桜を離さなかった。
それはつまり、同じ布団に寝た訳で。
またこれが夢なんじゃないかって不安にならない為に。
カーテンを通り抜ける朝の光で目を覚ました時
すごく安心したのを覚えてる。
俺は美桜がいなくなった事で、少しやつれて。
美桜も出て行った間は、あんまり食事をしていなかったみたいで。
仕方がなく、オヤジも咲良さんも学校を休むことを許してくれた。
「まだ食べれる?」
「うん」
帰って来たネコは、より一層素直になっていた。