My girl
「ったく、しょうがねぇな」
そして、ふたつ目を取り出そうとした時。
「はいっ」
美桜がひとつのシュークリームを割って、俺にくれたんだ。
「……あっ、」
中から溢れるクリームが美桜の指を伝う。
その指が美桜の口へと放り込まれるより先に。
「未来……っ」
美桜の手首を掴むと、クリームのついた指を口元へと近づけた。
瞬間、口の中に広がるのは甘ったるいカスタードクリームの味。
「……あま」
「……っ、だからテメェに買って来た訳じゃねぇんだよ!」
もうひとつのシュークリームを手に、なんだか説得力のない志月を
なんとかスルーし。
「も、もぉ……っ」
舐められた薬指を見て、パッと顔を赤くさせる美桜。
その後は、予想通りみっつあったシュークリームをそれぞれがおしいく頂いた。
「志月って甘いもの好きなんだね」
何にも分かっていないネコは、そう言って可愛く鳴くんだ。
「誰かさんの影響でね」
本当、どこまで天然なんだか。