My girl
まだ水分を含んだ髪に、タオルを当てながら部屋へと戻る。
そこに、一歩踏み込んだ瞬間。
「――…ッ」
思わず、息を呑んだ――。
開けっ放しの窓は……
やっぱり、そのままで。
風に舞うカーテンを
すり抜ける月の青白い光。
ベッドに倒れ込むようにして
横たわる美桜。
白いシーツに、
弧を描きながら広がる長い髪。
Tシャツの裾から伸びる細長い手はシーツを握り込んでいた。
光も届かない
深い森に、迷い込んだような。
魔女に騙され、
毒リンゴに侵されたお姫様。
やっぱり、彼女は
俺を惹きつける
“何か”を持っている。
多分これが――
男に襲われる、原因。