My girl
目を覚ますと
隣にいた 温もりも
柔らかな 息遣いも
失くなっていて――
僅かにシワが寄って、
半分空けられたシーツの上に、美桜の姿はなかった。
そのスペースに映るのは……
俺ひとり分の――影。
月明かりに照らされて重なっていた影など……
もうどこにもなかった。
「本当は夢だったとか、……言わないよな」
今思えば、同じこの空間に彼女がいたことさえ、嘘に思えた。
彼女はそれだけ不思議で魅力的な雰囲気を持っていた。
――桜の香りをまといながら。