My girl
◆S O S
「……ははっ、美桜らしいな」
開いた紙を、もう1度丁寧にたたんだ。
空のカップを片手にバーへ下りると、もうオヤジがグラスを磨いていた。
「早ぇな」
オヤジの後ろ姿に話し掛けながら通り過る。
カップを洗おうと、水道の蛇口をキュッとひねった。
「近々、お前にも紹介しようと思う」
「……ああ」
洗ったカップを拭きながら、そうどうにか答える。
あの話を聞かされてから、もう大分経つし。
話がなかったのは、なんかあったと思ってたんだ。
――別れた、とか。