My girl
「のど、イタ……」
深い藍色とも言えない、真っ暗な空の下
俺はかすれた白い息を吐き出す。
カラオケを通しで3時間。
休みなく歌い続けたアイツはどうなんだよ……。
こんな季節がまた、
志月をそうさせるんだろうけど。
季節は足早に過ぎ、凍てつく寒さの中
街は赤と緑で彩られ
このネオンの街を、ただ明るく照らす看板のような
“質の悪い”光でなはく
ショーウィンドウは
柔らかく儚いような光で、きらびやかに飾られていた。
そんな道とは程遠い路地裏。
真っ暗な闇を、眩い程の光がチラホラ照らす。
まるで
そこだけ穴が開いたような……
切り取られたような。
そんな空間が、違う世界への扉のように思えてくる。