Tea Time Romance
「……この間お忘れになったでしょう、手帳」

 顔馴染みになった社長付きの秘書が、黒い手帳を持って微笑んでいる。
 眼鏡の奧の瞳が、育ちの良さを物語る。

「すいません、探していたんです」

「駄目ですよ、大事なもの落とされては」

 手渡される時、手帳の間から栞が落ちた。
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