Tea Time Romance
「ハーブティを」

 白い帽子の下で、ダークローズの唇が動く。そして彼女の指定席である、白いパラソルのテーブルにつく。

 彼女の存在に気がついたのはバイトを始めて1週間を過ぎた頃からだ。毎日同じ時間に、同じメニューを注文し、同じように読書に勤しむ。そして僕も彼女のテーブルへハーブティを運ぶのが日課のようになっていた。

 ハーブティのブレンドはペパーミントとリンデンフラワー、ローズピンク。
 これにいつもはミントの葉を浮かべるのだが、その日はあいにく切らしていた。

 マスターが溜息をつく。

「どうしたものかねぇ……」

 ふと僕は思いついて、エディブルフラワーをストックから取り出す。
 中でも香りの良い、紅バラの花弁をティカップに浮かべた。
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