Tea Time Romance
 宿舎に帰り、読むつもりで持ってきていた単行本に花弁を挟み込む。
 一度閉じた本をまた開き、それを眺めながら僕は溜息をついた。


 ……好きなのかな、あの女の事が。


 彼女の微笑み、そして優しい声を思い出そうとして、目を閉じる。
 だけど浮かぶのは、彼女の左薬指に光るダイヤをあしらえた指環だった。
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