甘い魔法―先生とあたしの恋―
まぁ、事情は分かる。
分かるけどさ、『壊すなよ』って……いや、普通に壊せないし。
女子高生にどうやったら故意でもなく建物破損ができるの?
普通に生活してる分には絶対無理だって。
それに……男のクセにキレイ好きとかってありえないし。
絶対に彼女とかに口うるさく言うんだろうな。
……A型だからって綺麗好きとか、何その判断基準。
血液型でそんな事言ってるのって日本くらいだし。
なんでみんなしてA型は神経質だとか気弱だとか協調性命とか……。
なんだかイライラしてきた気持ちに、手元にある服のてんこ盛りに入ったスーツケースを手に取る。
もう整理なんかする気分じゃないし、いいや今度で。
重いスーツケースを持ち上げて、クローゼットの上段に放り込んだ。
勝手にあたしを学校に押し付けたお父さんにも
隣の神経質なホスト男にも
古い造りの部屋にも……。
ついでに言えば、自分の大量の荷物にもイライラして。
できる限りの力で放り込んだスーツケースは、クローゼットの奥の壁にぶつかった。