甘い魔法―先生とあたしの恋―
……ってか、ここ2万なんだ。
毎月お父さんからもらう生活費が5万……その中に家賃まで入ってたら結構キツイかも。
壊しときながらそんな事を考えていると、矢野が顔を上げた。
「住めなくなったらおまえも困るよな?」
「え……あ、うん」
「じゃあこの事は秘密って事にしねぇ?」
「……修理お願いしたらバレて追い出されるから?
でもあたし、壁が抜けてる部屋なんかに住みたくな……」
「あー、もしおまえが壊したって知られたら何かしら責任取らされたりして」
矢野の言葉に、あたしはぎくりとして表情を歪めた。
責任……軽いとこでお説教だろうけど、きっとそれでもお父さんには連絡が行くよね……?
それは……それだけは、まずい。
「器物損害だしな……。
おまえが誰にも言わずに大人しくこの部屋に住むって言うなら、俺も学校側には黙っとく。
大体、今から他のアパート探したって敷金礼金掛かるし。
おまえだって困るだろ?」
多少、うまく丸めこまれた感はあるけど……まぁ、確かに矢野の言う通りだ。