甘い魔法―先生とあたしの恋―
「あたしがこんなだからいけないんだよね……。
あたしが、悪いのに……。
啓太と別れて変われたつもりでいたのに……全然変われてない」
なんとか笑えた口元から発した言葉が、2人きりの教室に静かに落ちる。
呆れるのは、自分。
情けなくて、弱い、自分。
本当に何やってるんだろう。
のこのこ会いに行って、殴られて……。
挙句―――……
『結局アレだな。おまえもおまえんちの母親と一緒だな。
必要なくなったら捨てるんだよ』
あんな言葉まで言われて。
お母さんは……、
お母さんは、あたしを―――……
「……あたしがこんなだから、
だから、お母さんは出て行っちゃったの……?」
思わず零してしまった言葉にハッとして、顔を上げた。
そんな言葉を口走った自分にびっくりした。
でも、それ以上に、先生が気になって。
先生が親に捨てられた事を聞いてたから。
だから、自分の言葉が先生を傷付けた気がして、心配になった。
だけど……。
先生を捕えようとした瞳は、その役目を果たせなかった。
……―――突然、先生に視界を塞がれて。