甘い魔法―先生とあたしの恋―


生徒なのに……、

教師なのに。


一瞬でも期待したあたしがバカだったんだ。


先生には彼女だっているんだもん。

当たり前だよ。


あのキスは……、きっとあたしがそんな顔してたからしてくれただけなんだ。


先生を好きだって顔してたから。

だから、先生は――――……


だって、生徒と教師なんてダメだもん。

そんなの、当たり前だもん……。


指先に触れる先生にもらった飴。


『忘れ薬』

そう名付けられた、いちごミルク味の飴玉。

もう、何度ももらった飴。


何度ももらった、優しさ―――……。


先生は……

いつでも優しかった。


いつも、いつも……優しかった。

笑顔も、言葉も、態度も……いつも、優しくしてくれた。



先生。

あたしは、忘れたい訳じゃないよ。


先生との事を、

あの時のキスを、忘れたい訳じゃない。


だって、嫌な思い出なんか一つもないもん。


例え、想い返されなくても。

……忘れたい訳じゃない。


忘れたくないよ。



先生がくれた優しさも、

キスも……


先生へのこの気持ちも―――……

忘れたくなんかない。



だから―――……





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