甘い魔法―先生とあたしの恋―
「それ、絶対脈ありだよっ」
「協力するし頑張ってみれば?! 好きなんでしょ? 矢野センの事」
あたしの後ろでまだ続けられてる会話が、勝手に耳に入り込んでくる。
「なんとも思ってなければパンなんかくれないんじゃない?
矢野セン、いっつも安月給だって嘆いてるじゃん」
「あ、そうだよね! 給料よくないのにパンとかくれるのって……え、なに? マジで脈あり?」
そんな言葉に、胸がひどく苦しくなった。
『あたしなんか、ゼリーもらったんだから』
『飴だってたくさんもらったんだから』
『抱き締められたんだから……』
『キス、したんだから―――……』
そんな事を、叫びたくなった。
『あたしだって……、
好きなんだから―――……』
どんなに想っても
どんなに頑張っても
絶対に届く事がない気持ち。
そんな想いに、胸が押し潰されそうだった。
どんどん大きくなってしまった気持が……
苦しくて苦しくて仕方なかった。