甘い魔法―先生とあたしの恋―
「上手く隠せると思ったのに……何やってんだよ」
自己嫌悪にも似た感情が襲ってきて、罪悪感に上乗せされる。
負ばかりの要因を持つ感情が溜まって、ため息を落とした。
自信があった。
必要以上に生徒に関わらない自信。
生徒に感情移入しない自信。
適当にあしらう自信。
一線引く自信。
市川に嘘をついて騙す自信が。
……―――なのに、考えるより先に身体が動いてた。
止める自分が確かにいたのに、市川の後を追ってた。
『教師』
そんな立場を忘れて。
ただ、心配で。
市川の泣き顔をもう見たくなくて。
守ってやりたくて―――……。
昨日の自分の感情も、自分の行動も、すべてが鮮明に思い出されてきて、俺はまた一つため息を落とす。
……後悔してる訳じゃない。
きっと、昨日抑えたっていつかはああなってた。