甘い魔法―先生とあたしの恋―
いつまでも隠しとけるような、いい加減な気持ちじゃない事も
そんな感情を隠し通せるような、
立派な人間じゃない事も、
俺が一番よく知ってるから。
人一倍強い、独占欲に嫉妬心。
いくら隠そうとしたって……そんな感情が、いつか、手を伸ばして市川を抱き締めてた。
だから、後悔なんかしてなかった。
誰よりも近くで守ってやりたい。
少し意地っ張りな言葉を、いつも隣で聞いてやりたい。
意外と泣き虫な市川を、泣く度に抱き締めてやりたい。
大切に、想ってやりたい―――……。
そう思ってるのは、事実だから。
……―――だけど。
『教師』
その立場がなくなった訳じゃない。
許される訳がない。
この状況がいいとは思えない。
……市川にとっても。
「どうしろっつぅんだよ……くそ」
後悔はしてないのに……
市川の事を思うと胸が痛む。