甘い魔法―先生とあたしの恋―
from.内田 諒子
sub.どう?
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引越し今日だったよね?
どう? 新居は。
そういえば、啓太くん見たよ。
女連れだった。
いい加減別れなよね。
あたしがいい男紹介するし。
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諒子とは、高校の入学式で初めて会った。
出席番号が前後で、すぐに仲良くなって、何でも話せる仲になった。
でも、啓太の暴力の事だけは話せなくて。
隠してたけど、頬を腫らして登校した時に問い詰められた。
それを知ってからの諒子は、啓太との付き合いに大反対。
……まぁ、当たり前だけど。
諒子のメールに、自然とため息が落ちる。
ショックっていうよりは……やっぱりっていう、悲しい感情。
さっきの電話の後ろで聞こえた女の声。
気付いてたけど、あえて聞かなかった。
啓太の浮気現場が目撃される事は今までにも何度もあったし、ああ、そうなんだなって思ってる。
あたし自身が見た事はまだないんだけど。
だからあんまり実感がないのかもしれないけど。
PIPI、PIPI……
手の中で、再び鳴り出したメール音に、深い位置に潜り込んでいたあたしの思考が呼び戻される。
そして、明るく光るディスプレイに視線を落とした。