甘い魔法―先生とあたしの恋―
夏になりかけている薄暗い空。
寮の食堂の電気をつけると、一気に視界が明るくなってあたしは目を細めた。
「和馬、何か話? ……食べながら聞いたりしたら怒る?」
食堂のテーブルの上に用意されている食事を指差しながら言うと、和馬は苦笑いを浮かべて頷いた。
「いいよ、食いながらで。……つぅか、本当に失礼な奴だよな」
「違うよ、和馬が相手だからだって。幼なじみ相手だからそんな事言えるの」
椅子に座ると、和馬はあたしの前の席に腰を下ろした。
「いただきます」と呟いて、顔の前で手を合わせたあたしだったけど……目の前で浮かない表情をする和馬に気付いて、手を止める。
「和馬何かあったの?」
和馬は、珍しく少し黙ってから伏せていた視線をあたしに向けた。
でも、その表情はやっぱりいつもの和馬らしくなくて。
戸惑っているような、落ち込んでいるような……沈んだ表情をしていた。
「今日さ……告白されたんだ、1年の子に」
浮かない表情の和馬の口から出てきた言葉に、拍子抜けして……そして小さく笑う。
「なに、それ。自慢するために待ってたの?」
「そうじゃねぇよ。
……相手が相手だから、振ったらおまえに嫌がらせでもしそうでさ、だから……」
「嫌がらせ? ……って、もしかして……吉岡さん?」
「そう」