甘い魔法―先生とあたしの恋―


これ以上聞きたくなくて、わざと突き放すような言葉を口にすると、和馬は「そっか」と呟いた後思い出したように口を開いた。


「あと、実姫に伝えろって言われたんだけど……。

『コンビニに呼び出した日に言った事、アレ取り消す。お互い付き合い方間違えてた。実姫は、それに気付いて正しい道選んだだけだし』って」

「……―――」

「『また会っても、二人してまた間違えるだけだから、もう会わない』って。

……意味分かるか? 俺にはさっぱりなんだけど。

つぅか、長くて覚えるの大変だったんだけど」



いつかの、あのコンビニに呼び出された時の事が頭の中に映し出される。


『捨てるんだろ? 他に好きな奴が出来たから。

結局アレだな。おまえもおまえんちの母親と一緒だな。

必要なくなったら捨てるんだよ』


ずっと頭の隅にあった啓太の言葉が、浮き上がってくる。

啓太と別れてからも、ずっとずっと胸の中で膿み続けていた言葉が―――……


『アレ取り消す。お互い付き合い方間違えてた。実姫は、それに気付いて正しい道選んだだけだし』


確かに和馬から聞かされたハズの言葉に、啓太の声が重なる。

中学の頃の啓太の声が……。


過去の優しい啓太への執着から、離れられなかったあたし。

大切な事を言葉に出来なくて、1人で苦しんでるうちに方向を見失った啓太。


一体……

どこで間違えたんだろう。


どこで、付き合い方を間違えてしまったんだろう。




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