甘い魔法―先生とあたしの恋―
from.清水 和馬
sub.
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引っ越し今日だったよな?
無事着いたか?
田宮また女連れで歩いてたよ。
早く別れろよ、あんな最低男。
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和馬のメールに、あたしは呆れて苦笑いを落とす。
和馬はあたしの幼馴染で、小学校からの関係は完全な腐れ縁と化していた。
すごくいい奴で、でもお節介なのがちょっと鬱陶しいけど。
それなりに女子にも人気があったりするのに、恋愛になんかこれっぽっちも興味がなさそうな和馬は、あたしにとっては諒子と同じような存在。
腐れ縁だけど、だけど、こんないい男友達はいないと思う。
……本人には絶対言わないけど。
「っていうか……」
もう一度メール画面を見つめてから、大きなため息をついた。
どんだけ目撃されてるんだろ……。
浮気するならもっと隠れてやってよ。
何度も何度も繰り返す啓太に、あたしも少しは呆れていて……好きかって聞かれても、笑顔で自信満々に答えるのは無理だと思う。
だけど、嫌いにもなれなくて。
……1人になる勇気もなくて。
機嫌のいい時に、たまに見せる啓太の優しい笑顔が……あたしをここに留めていた。