甘い魔法―先生とあたしの恋―


啓太の事を思い出そうとすると、昔の啓太に、今の啓太がシンクロする。


荒れた外見に、尖った態度。

啓太の全部が、何かを伝えていたような気がした。

救いを求めていたような気がした。


言葉に出来ない気持ちを……

啓太自身が、伝えているような気がした――――……



どこで、あたしは本当の啓太を見失ったんだろう。

変わってしまった事を、全部啓太のせいだって押しつけて……

あたしは1人で泣いてばかりで。



本当は、啓太だって1人で苦しんでいたのかもしれないのに。

……それに気付けなかった。

……気付こうとしなかった。


バスケの話をしなくなった啓太を

冷たくなった啓太を

……笑わなくなった啓太を

あたしは少しだけ気にしながらも、何も聞かなかった―――……。




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