甘い魔法―先生とあたしの恋―


前、中学の頃の顧問に会いに行ったって聞いた事があった。

あれは……啓太がもがいてる証拠だったのかもしれない。


だけど、あたしはその時も、啓太を不機嫌にしたくないからって深く聞こうとはしなかった。


あたしはいつも、しつこくして嫌われる事を怖がって……、

思った疑問を言葉にして啓太に届けなかった―――……。


あの時ちゃんと言葉にしていれば……。



あんなにバスケが好きだった啓太が、それを奪われて大丈夫だったハズがない。

平気だったわけないのに……。


なんで、気付かなかったんだろう。

あたしはいつも啓太を心の中で責めるだけで……啓太がなんでそんな事するのかなんて、考えなかった。


恐がるだけで、自分を守るだけで……大切な事すら聞けない。

言葉に、出来ない。


あたしの付き合い方は、間違ってた―――……。




思い当たる部分があるだけに、無性にやりきれない気分になった。



『もう会わない』

啓太の言葉が、胸に響いて痛い―――……。









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