甘い魔法―先生とあたしの恋―
……っていうか。
「なに、生まれ変わったらって。
先生ってロマンチスト? 案外男の人のが夢見てるよね」
先生につられて、うっかり夢みたいな事を考えてしまった自分に恥ずかしくなりながらそんな事を言う。
あたしの言葉に、先生は何も言わずにすくっと立ち上がって、いつもの席に座り直した。
いつもの、先生の定位置に。
……そして。
「いたっ……」
「やっぱりここじゃねぇと落ち着かねぇや」
少し身を乗り出してあたしのおでこにでこピンをした後、何もなかったようにそんな言葉を漏らす。
「あんな遠くからじゃ市川の顔もよく見えねぇし。せっかく寮にいる時くらいなるべく近くにいたいよな」
「……」
視線をオムライスに落としたまま言われた言葉に、あたしはでこピンされた事に対する抗議の言葉を奪われる。
おとなしくなったあたしを、極上の笑みを浮かべながら見つめてくる先生は……、
間違いなく確信犯。
甘ったるい空気が立ち込める中、あたしはオムライスを頬張った。