甘い魔法―先生とあたしの恋―
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「あー……やべー……」
寮までの帰り道、俺を後悔の念がひたすら襲っていた。
『生徒のプライベートにはくれぐれも必要以上に関わらないように』
頭に浮かぶのは……うるさい教頭の声と、俺を怪訝そうに見る顔。
絶対関わりすぎだし。
担任でもねぇのに家まで上がり込んじゃったし。
殴った事に対する説教までしちゃったし。
申し訳ないとか、頭まで下げられちゃったし……。
「……絶対やべぇ」
……バレたら。
大体、親に育てられた記憶もない俺が、何言ってんだろ。
経験もした事のない俺の言葉なんて……きっと、たいした説得力もないに決まってる。
あんな理想論、市川の親父さんが出来た人間じゃなきゃ、怒鳴られてたとこだし。
『口突っ込むな』なんて言われて、追い出されて当然だし。
大きなため息を逃がしながら、俯かせていた顔を上げて空を見上げる。
たくさんの星が飾ってる夜空を見つめながら、目を細めた。