甘い魔法―先生とあたしの恋―
罰
【実姫SIDE】
「ただいま」
ノックと同時にクローゼットを開けて入ってきた先生に、びっくりしてから口を尖らせた。
「ノックしたら、ちょっと置いてから入ってきてよ!
同時ってありえない……っていうか、意味ないじゃん」
「まぁ、細かい事気にすんなよ」
「先生ほどじゃないよっ」
「そんなムキになるなって。……おまえ、俺の帰りが遅かったから拗ねてる?」
誤魔化すように笑う先生から、不貞腐れて目を逸らす。
「拗ねてたのは中村さんだもん。あと、和馬のクラスの金沢さん」
「……その2人はどうでもいいだろ。
俺、おまえの機嫌取りに来ただけだし。……こっちこいよ」
「……っ」
ベッドに寄りかかって座った先生が、あたしに手招きをする。
今までは、抱き締められるのもキスも、全部不意打ちだったから出来たけど……。
いざ誘われると、近づく事すら恥ずかしくて。
それでも、戸惑いながら先生の隣に座った。
あまりの緊張に、少しだけ間を開けて座ると、先生があたしの肩を抱き寄せて……
「……っ」
「あー……疲れた……」
あたしの頭の上に、自分の頭を乗せる。
先生の行動にドキドキする気持ちを隠しながら、あたしは平然を装うために会話を探す。