甘い魔法―先生とあたしの恋―
『なんで知ってるの?』
その疑問だけが頭に浮かんできて、それを口にしようとしたけど……
言葉にした時点で、認めてしまう事になる自分の気持ちに、あたしは言葉を呑む。
だけど、あたしの考えを読み取ったような和馬は、その疑問に答えた。
「実姫見てればそれくらい分かる。
実姫分かりやすいしな」
「うそ……」
「や、マジで。
実姫の事見てたらなんとなく分かった。
でも、矢野センに言ったら誤魔化されて……で、違うのかな、って思ったけど、今の実姫の反応で確信した。
矢野センにまんまと騙されたし」
笑顔を向けてくる和馬を、あたしは表情を歪めたまま見つめていた。
和馬の声が、あたしの耳に入り込んで、そのまま脳に落ちる。
重く、重く―――……
「実はさ、昨日矢野セン脅したんだ。
そしたらそれより先にやる事あるだろって……正直、矢野センは俺から見てもカッコいいと思う。
俺なんかがカマかけただけなのに、ちゃんと対応してくれた。
誤魔化してはいたけど……それは、実姫を守るためだし。
それを目の当たりにして……ああ、矢野センも本気なんだって分かった」
「……」
「だけど、実姫達の事バラすつもりなんか全然ないから安心して。
矢野センにも、俺が疑ってるって事は実姫には言うなって言われてたんだけど……ごめん。
どうしても、自分の気持ち伝えたかったんだ。
吐き出さないといい加減もう苦しくて……実姫、鈍くて全然気付かないしな。
言わないと、俺自身前に進めないから」