甘い魔法―先生とあたしの恋―
「……」
「でも、勘違いしないでくれよ?
俺は、実姫を応援するからな。告白もだけど、それもちゃんと伝えたかったんだ。
頑張れよって事を」
どんどんと吸収されていく和馬の言葉が、どこかぼんやりとしながら、でも確実にあたしの中に留まる。
耳には鮮明に届くのに、それは頭で理解できないうちに記憶の中へと吸い込まれていく。
あたしの頭の動きを止めるのは……
『実姫見てればそれくらい分かる。
実姫分かりやすいしな』
和馬の、その言葉―――……
「実姫?」
「え……? あ……」
呼びかけにはっとして顔を上げると、和馬が小さく笑ってあたしを見つめた。
「部活中だし、もう行くよ。
なんか伝えたらすっきりしたし、すぐ他の子好きになれそうだし。
……だからさ、今まで通りに接しろよな」
「……うん。和馬、ごめ……」
「謝ってんじゃねぇよ。実姫悪くないだろ。
……つぅか惨めになるからやめて」
笑いながら言う和馬に、あたしもなんとか微笑んで見せた。