甘い魔法―先生とあたしの恋―


「超ラブラブだし。……うざいくらいに」

「やっぱ違うよねー。実姫の訳ないか」

「だよね。清水くんみたいなカッコいい彼氏いるんだし、あんなに大事にされてるとこ見ちゃえば……考えられないしね」

「でも、誰だったんだろー……あー、矢野センにだったらあたしも抱き締められたい」


次々と交わされる会話に、笑い声。

そんな中、あたしのケータイが震えた。





from.和馬
sub.
―――――――――――

ってことだからさ、
協力ぐらいさせろよ。

幼なじみなんだから
遠慮とかすんなって。

あんな他人行儀なメール
寂しんだけど。

―――――――――――





from.矢野
sub.
―――――――――――

なんか噂になってるけど
相手おまえだからな。

浮気とか疑うなよ?


上手く誤魔化したから
大丈夫だから。

おまえはいつも通りに
してろ。

―――――――――――




同時に入ってきた2通のメールに、涙が溢れた。


和馬に、無理して庇ってもらえるほど、あたし、いい子じゃないのに……

先生に、そんなに気遣って大切にしてもらえるほど、いい子なんかじゃないのに……



あたしの事を、笑顔で必死に庇ってくれた和馬に

自分の傷付いた気持ちを隠しながら笑ってくれた和馬に……胸が苦しくなる。


寮に帰れば話せるのに、それでも昼休みにこんなメールをくれる先生に

あたしの不安を少しでも早く取り除こうとしてくれる先生に……涙が溢れる。




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