甘い魔法―先生とあたしの恋―
やっぱりやきもちを妬いてた先生に、再び唇を奪われる。
優しいのに、どこか強引にも取れるキスが、嬉しくて……
甘く鼓膜を震えされる声に
ささやかれた言葉に
先生の体温に……
どうしょうもないほどに、胸がきゅっと締め付けられる。
嬉しいのに、泣きたい気持ちになる。
「……っ……、」
交わされるキスに、体温が溶け合う。
先生のそれを受けるあたしの頭は、もう正しい思考回路を失っていて……
意識全部が、先生に支配されてた。
だけど―――……
――コンコン
「っ!!」
突然ノックされた寮のドアに、半分以上溶けかけていた意識が一気に戻る。
身体を強張らせたあたしに、先生は笑って……。
「大丈夫だから、大人しくしてろ」
そう言ってから、冷蔵庫の影に隠れるように促した。
あたしが隠れると同時に開いたドア。
さっきまで甘い空気が支配していた食堂が、一気に緊張に色を変える。
「あ、矢野先生。よかった、いてくれて」
「島田先生……どうしたんですか?」
……島田?
言われて気付いた聞き慣れた声に、心拍数がまた少し速くなる。
不快なリズムを弾き出す心臓が苦しくて、小さく呼吸を繰り返して耳を澄ます。