甘い魔法―先生とあたしの恋―
「……なんだよ。さっきも途中だったのに……」
「途中って……、十分長くてエッチだった……っ」
先生の子供みたいな拗ねた表情に、一瞬思考が流されそうになる。
けど、うっかり出てしまった発言に口を塞ぐ。
「エッチだった……? 市川、キスの間、そんな事考えてたんだ……?」
すっかり意地悪モードになった先生に顔を赤くしながら、慌てて会話を元に戻す。
「そんな事よりっ……処分って……、先生どうなるの?!」
「別にどうもなんねぇよ。
バレた訳でもねぇし、俺が何かした訳でもねぇし。
教頭がただヒステリックになってるだけだって」
「……」
「大丈夫だって。おまえだって、バレないように頑張ってるし、俺も精一杯努力してる。
そんな隙見せるつもりねぇし。
それに……もし何かあっても、おまえの事は守るから」
心配を浮かべるあたしに気付いた先生が、優しく笑って頭を撫でる。
「だから心配すんな。……な?」なんて、子供をなだめるように声を掛けてくれる先生に、あたしはしばらくしてからコクンと頷いた。
ざわざわとした不安で、胸がいっぱいだった。