甘い魔法―先生とあたしの恋―
ねぇ、先生。
あたしも好きな人には傷付いて欲しくない。
先生に……、傷付いて欲しくない。
その原因になるものがあるなら、取り除きたい。
吉岡さんと一緒なんだよ。
……ただ違うのは、自分の気持ちに胸を張れない事。
真っ直ぐな目で、見つめられない事。
だって……、先生を傷つけたくないって本当にそう思ってるのに……。
次、その原因になるのは―――……
きっとあたしだ。
先生が傷付くのなんて見たくないのに。
あたしを庇って頭を下げるところなんて、見たくないのに。
キズを隠して笑顔を見せる先生なんて、見たくないのに。
そのためなら……
答えなんか決まってるのに――――……
……決心がつかない。
先生と離れる選択肢を……選べない。
だって、嫌だもん。
別れるなんて……嫌だよ、そんなの。
やっと……やっと、先生の近くにいられるようになったのに、
そんなの……嫌。
……―――でも。
でも……
あたしとの事がバレて、先生がいなくなるのはもっと嫌。
先生が教師を辞めるのも
違う学校に移動になるのも
あの寮からいなくなっちゃうのも……
別れるのも……
全部、嫌……
どうすれば先生を失わずにすむの……?
どうすれば今までみたいに一緒にいられる……?
教師としての先生と
恋人としての先生……
どっちからを諦めなくちゃダメなの―――……?