甘い魔法―先生とあたしの恋―



「心配症」

「それぐらいの方がいいんだよ。備えあれば憂いなしって言うだろぉが」

「数学教師のくせに。

そんな心配ばっかりしてると、他の生徒にウザがられるよ」


目の奥まで浮かび上がってきてしまった涙を隠すために言った憎まれ口。

だけど、そんなあたしに、先生は少し困り顔で笑いながら視線を逸らした。


「おまえにしかしねぇよ。こんな心配」


先生の言葉に、締め付けられた胸が悲鳴を上げる。


答えが……

すぐ近くまできてるのに。


やっぱり、どうしても認めたくなくて……

離れたくなくて……


「先生……」

「ん?」


『大好き』

続く言葉は、言えなかった。


「……なんでもない。呼びたかっただけ」

「なんだよ、それ」


呆れたように、でも嬉しそうに笑う先生から、目を逸らした。



最初から分かってた。

先生を好きになったりしちゃダメだって……、最初から分かってた。



でも……

それでも止められなかった。


先生に惹かれていく自分を、止める事なんて出来なかった。



先生……先生が大好きだよ。

誰よりも……


誰よりも、先生が好き―――……









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