甘い魔法―先生とあたしの恋―


カチカチと響く秒針の音さえも、過敏になった聴覚を反応させていた。


胸が、苦しい。

身体中のキズが痛くて、苦しくて……息が、できない。


「……困らねぇよ。

大体、俺は別れるつもりなんかない。

……バレないようにすればいいだけの話だろ?

それなら俺がなんとかする。

だから、おまえは何も心配するな。……な?」


先生の力強くも優しい言葉に、一気に涙が込み上げてくるのが分かった。


「心配させてごめんな。……でも、絶対市川を退学にさせたりはしないから。

……だから、俺の隣にいろよ」


先生の言葉が、心を揺さぶる。


これでもかってほどに……

先生の優しさが、先生への想いが、あたしを揺らす。



あたしだって……

あたしだって、一緒にいたいよ……っ。


先生の隣に、居たいよ。




……―――でも、それじゃ、ダメなんだよ。


だって、もしバレたら?

そうなってからじゃ、遅いんだよ……?



先生は、なにもかも失っちゃうんだよ……?



……あたしのせいで、

なにもかも―――……



そんなの……、ダメだよ。


絶対に、ダメ。




好きな人から、大切なモノを奪うなんて……

そんな自分は、許せない―――……







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