甘い魔法―先生とあたしの恋―
「……あたし、和馬と付き合いたい。
だから……、ごめんなさい……。
全部、あたしのわがままだから……。ごめんなさい……」
頭を下げた途端に、溜まっていた涙が溢れ出して床へと落ちた。
一度封を切ってしまった涙は、留まる事を知らないように溢れ続ける。
次々に床へと落ちていく涙が、
蛍光灯に照らされてキラキラと光って見えた。
この涙に、先生が気付かない事を願いながら、静かに涙を溢れさせることしか出来なかった。
まるで、あたしの気持ちを代弁しているように溢れ続ける涙が、
それを先生に伝えようとポタポタと瞳から零れる。
そんな涙に、ぎゅっと目を閉じた時。
近付いてきた先生に、突然腕を掴まれた。
掴んだ腕ごと引き寄せる先生に、あたしは一瞬身体を竦ませて……でも、涙に気付かれないように顔は上げなかった。
「そんな嘘……、俺が信じると思ってんの?」
「……っ」
ぐっと力を込めて掴まれた腕が、痛い。
触れた場所から流れ込んでくる先生の気持ちが……
痛くて痛くて、仕方がなかった。
「市川……本当の事、言えよ」
その声に、やっと顔を上げると……鋭い視線を向ける先生がいて。
……あたしの胸を罪悪感が襲った。
先生の瞳は、怖いっていうよりも、傷付いているように見えたから。
ズキズキと痛み出した胸が、あたしの声を震わせる。
「嘘じゃないよ。……怖くなったの。
……バレるのが」