甘い魔法―先生とあたしの恋―

必死に作った笑顔は……、もう、きっとバレてる。

作り笑顔だって、和馬は気付いてる。


「実……」

「和馬。……あたし、和馬の優しいところ、大好きだよ。

……でも、和馬に甘えてたら前に進めない。

和馬は……、あたしに甘すぎるもん」

「……つぅか、それって俺が告白なんかしたから気まずいって事？」


真面目な表情をして聞く和馬に、大きく首を振ってそれを否定する。

それは、嘘なんかじゃない。


和馬を安心させるための、誤魔化しの言葉なんかじゃなかった。


「違う。……あたしがダメなの。

今は……、今だけは、自分だけで頑張らなくちゃダメなのに……。

和馬が今までみたいにあたしを助けたり、彼氏の振りしてくれたりしたら……あたし絶対甘えちゃうもん。

和馬に、今までみたいに寄りかかっちゃう。

……それじゃダメだから」



和馬に……、

誰かの優しさに寄りかかるんじゃ、ダメなんだ。


先生と別れた事実は、ちゃんとあたし一人で受け止めたい。

……先生だって、きっと一人だから。


あたしが誰かに頼って楽するような事、絶対にしたくない。


自分で望んだ事だから。