甘い魔法―先生とあたしの恋―
別れではあるけど……、先生との、大切な出来事だから。
二人だけの、大切な事なんだから―――……
ずっと、つらくていい。
ずっと、苦しくていい。
その気持ちが、先生との事を証明してくれるから。
……思い出になんか、きっと出来ないから。
だから、ずっと苦しいままでいい。
その理由が先生だって事が、あたしと先生を繋いでくれるから―――……
『よく分かんないけど……つまり、柄にもなく大人しく見守ってろって事だよな?
んー……難しいかもだけど、頑張ってみるよ。
俺、ついでしゃばりたくなるからなー……。
お人よし直さないと、そのうち騙されるって母ちゃんにも言われてんだ』
あの後、和馬はそう言って笑った。
絶対、和馬は気付いてるハズなのに……
あたしが急にあんなお願いした事に、何か理由があるハズだって、気付いてるハズなのに……
何も聞かないで受け入れてくれた和馬に、優しさを感じて、逸らした視線。
眩しすぎる太陽が、涙を誘った。
和馬に言った事は、嘘じゃない。
だけど……、本当に伝えたかった本心は、言えなかった。
『和馬に、これ以上迷惑かけたくない』
和馬の性格を、よく分かってるから……
言えなかった―――……