甘い魔法―先生とあたしの恋―
「さ、行くよ。もう待ってるから」
「待ってる? 他にも誰かいるの? っていうか、どこ行くの?」
歩くように促されて、諒子の後ろを歩きだす。
歩きながら聞くと、諒子はスタスタと歩きながら、ようやく返事をした。
「……合コン」
「ご……?」
諒子の言葉に、足が止まる。
だけど、そんなあたしを振り返りもしないで足を進める諒子に、急いでその後を追う。
「諒子、合コンって……」
そこまで言って、あたしは一度口を閉じた。
そして……、静かに諒子に問い掛けた。
「諒子……。
あたしが先生と別れた事、知ってたの……?」
先生と別れてからしばらく経つけど、あたしはまだその事実を誰にも言えずにいた。
言葉にした途端に、現実味を帯びる気がして怖くて。
言ったらもう、本当に戻れない気がして……。
それを受け止める自信がなくて、話せずにいた。
それは、諒子にさえ。
なのに……
諒子は振り向かないまま、コクンと頷く。