甘い魔法―先生とあたしの恋―
メロンソーダ
初めて行った合コンは、そんなに面白いと思えるものじゃなかった。
いつも行くカラオケの一室で行われた合コンは、新鮮さもムードもないし、クルクル回ってるカラーボールさえ空回りに思えてくる。
盛り上がってる大学生が勝手にゲームなんかを始めてたけど、あたしはそんな様子をぼんやりと眺めてた。
ふと諒子を見ると、諒子もあたしと同じように、騒ぐ大学生を遠い目で見ていて。
やっぱりいつもと違って見える諒子に、声をかけようと立ち上がろうとした時。
「実姫ちゃんって静かな子?」
騒いでいたハズの大学生の一人が話しかけてきた。
……誰だっけ。
確か……、
「……池田さん?」
「いや、おしいけど。……大池です。
名前すら覚えられてないって、きついものがあるんだけど」
苦笑いを浮かべた大池さんが口に運ぶのは、メロンソーダ。
歳にしては大人びた顔立ちをしているのに、メロンソーダ……。
なんだかギャップを感じてしまって、おかしくなる。
「……メロンソーダ好きなんですか?」
「ああ、つぅかさ、ドリンクバーなのにウーロンとかってもったいなくね?」
「貧乏性?」
大池さんの明るさに安心して笑うと、大池さんがふっと笑みを漏らす。
優しい、胸が締め付けられるような笑みを……。