甘い魔法―先生とあたしの恋―
諒子の想い
「あー……やっぱり合コンの雰囲気って苦手」
帰り道、途中にあるコーヒーショップでカフェラテを買った。
それを飲みながら、諒子と駅までの道を歩く。
夏休みだからか、時間のわりに学生の姿が目立っているように感じた。
「じゃあなんで行ったの?」
「……なんとなく」
曇った表情を隠すようにカフェラテを口に運んだ諒子に、あたしは顔をしかめる。
諒子の横顔に、ずっと感じてた疑問を、戸惑いながら口にした。
「……諒子、何かあった?
もしかして……、新しく出来た家族とうまくいってない……?」
「違っ……」
否定した諒子が、あたしを振り向く。
その顔が、真っ赤だった。
「……そう」
納得はいってなかったけど、頷かざるをえない雰囲気に、押され気味に返事をする。
諒子は赤くなった顔を両手で覆いながら、視線を落としていた。
日が暮れても、夏の気温はなかなか下がろうとしない。
蒸し暑い空気が、緩い風に乗せられて肌に纏わりつく。