甘い魔法―先生とあたしの恋―
寂しそうに微笑む諒子が、申し訳なさそうに口を開く。
「……要くんが好きだなんて、軽蔑した?
自分の事ばっかりって、幻滅した……?
本当にごめん……」
そのまま目を伏せた諒子に、あたしはきゅっと口を結んで歩み寄る。
そして、諒子の頬を両手で軽く叩いて目を合わさせた。
「……実姫?」
「本当だよ。……諒子が言ったんじゃん。
相談くらいしろって。
なのに、自分だって1人で溜めこんじゃって……本当バカみたい」
「……」
そこまで言うと、あたしは笑顔を作ってから諒子の顔を解放する。
「軽蔑なんかしない。
諒子があたしを応援してくれたみたいに、あたしだって応援するし。
それに……、諒子はもっと自分の事考えるべきだよ。
いっつも家の事とか、あたしの事とか心配してて……。
もっと自分勝手にしていいと思う。
今回だって、謝る必要なんか、全然ないし」