甘い魔法―先生とあたしの恋―
「先生、もう次の彼女できたんだね……でも、ここにはあまり連れ込んだりしないでね?
音とか、全部筒抜けなんだから……。
だから、昨日は気を使って家に帰ったんだから……」
傷付いた心を隠すように、憎まれ口を叩く。
嘘の言葉ばかりを言う声が、泣き出しそうだった。
だけど、何かを話していないと、
嘘を言っていないと、本音が漏れてきてしまいそうで。
「馬場先生、きれいな人だもんね。
うちのクラスにも馬場先生に憧れてる男子、何人かいるし、バレたら大変だから気をつけてね……。
バレたら、教頭にだって……」
でも、それ以上言葉を続ける事も出来なくて。
苦しさばかりが胸を突く。
心とは裏腹な事ばかりを言う事が苦しくて。
先生があたし以外を想う事が苦しくて。
先生があたし以外を抱き締めるのが……
苦しくて、苦しくて……
心が、砕けそうだった。
何も言えなくなってしまったあたしに、先生が軽いため息をつく。
そして―――……