甘い魔法―先生とあたしの恋―

頬を流れる涙にはっとしたあたしは、慌てて先生の胸を押し返した。


「先生っ……、離してっ……」

「……」

「離し……―――……」


離して欲しくない。


心の底ではそう言っていた願いは虚しくあたしの中だけに響いて、先生の腕は力を緩めた。

そんな先生にまた涙が溢れた時。


あたしを、覗き込むようにして見つめた先生が、

そのまま唇を重ねた―――……


「っ……ふ、……んんっ…」


不意打ちのキスに、一瞬何が起きたのか分からなかったけど……入り込んできた先生の舌に、ようやく事態を把握する。


先生の胸を押して抵抗するも……。

それは、何の意味もなしていないように思えた。


本気じゃない、あたしの抵抗なんて……何の意味もない。

先生も、きっともうそれに気付いてる。


「だけど……なに？」

「……っ…」


キスの途中、少しだけ唇を離して聞く先生に、あたしは何も言えずにただ先生を見ていた。

先生の存在を強く感じる甘いキスに、少しだけ乱された呼吸を浅く繰り返す。


そんなあたしに、先生は少しだけ口の端を釣り上げて笑みを作る。