甘い魔法―先生とあたしの恋―
失いたくないモノ
「……起きた?」
目を開けると、ふっと微笑む先生の顔がすぐ近くにあって。
一瞬状況を理解できなかったあたしは、布団から覗く先生の肌にすべてを思い出した。
慌てて自分の身体に視線を向けると、布団の下は想像通りで……。
顔を赤くしながら、鼻の辺りまで布団をかぶる。
差し込んでいた朝日の代わりに、もうすっかり上りきった太陽の光が部屋を柔らかく包んでいた。
……どうやら結構寝てたらしい。
昨日眠れなかったからかな。
「反抗的な態度だな。……おしおきされたいんだ?」
「っ……えっち!」
「……おまえ、どんなおしおき考えたんだよ。
何期待したんだか素直に言ってみ?」
先生の言葉に、ますます顔を赤くしたあたしは、気まずさに俯く。
先生は、反応を楽しむようにあたしの髪を撫でてその様子を眺めてた。
先生の視線が向けられている事に気付いて……目を合わせる事が出来ずに顔を背けると、床に散らばった飴に気付いた。
淡いピンク色の飴に。
「ねぇ……先生いつもこの飴持ってるよね? 買ってるの?」
チラッと先生を見ると、先生は優しい目であたしを見つめ返して、胸を締め付ける。