甘い魔法―先生とあたしの恋―
「そう。駅前のコンビニで売ってるから、わざわざ買いに行ってんだよ。
可愛すぎだろ、いちごミルクとか。
買う時微妙に恥ずかしいんだよなー、それ」
「もういい大人だもんね。……なんでいちごミルクなの? 好きだから?」
腕枕されたまま聞くと、先生はあたしの頭を乗せた腕を折りたたんであたしを抱き寄せた。
おでこにくっつきそうな先生の肌に、顔が赤く染まる。
そんなあたしに先生は笑みを零した。
「薬中だから」
「……あっそ」
「いや、本当に。精神安定剤に近いんだろうな、これ。
ほっとするんだよな、なんか。
物覚えついた時から、飴って言えばこれだったから……ガキの頃の影響なんだろうなとは思うけど」
「え、……施設入る前の?」
「ああ、多分な」
真っ直ぐ前を見ると、先生の首筋だとか浮き出た鎖骨が視界に入って心臓に悪くて……
騒ぐ心臓を抑えるように、目を瞑って先生の胸におでこをつけた。
「施設って……どんな感じ?」
「んー……学校の延長にも取れるけど……やっぱり独特だよな。
……あ、おまえ、施設育ちの男なんか嫌か?」
ドキドキを抑えたくて閉じた瞳。
なのに、視界をなくしたせいで、耳や鼻がやけに過敏になってしまって……。
先生の肌から微かに香る先生の匂いとか、低く甘い声だとか……。
身体で感じる先生があたしの胸を高鳴らせる。